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安達としまむらBlu-ray第4巻特典小説『Abiding Diverge Alien』感想

こんにちはー。えびてんです。

今回は安達としまむらBlu-ray第4巻に封入されている特典小説、『Abiding Diverge Alien』の感想です。前置きしている時間が惜しいくらいなので早く本編へいきましょう。

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まず、このAbiding Diverge Alienを読んだ全体的な感想の言葉として私は『安達としまむらだった』というものに落ち着きます。なんでしょう…18年という短い人生を生きてきた私ですが、それなりにアニメや漫画、ゲームや小説等、様々な作品に触れてきたつもりです。もちろん、他と比較すれば大した数では無いと思います。世の中にどれだけの数と種類の作品が存在しているかなんてわかりません。しかし、わからないくらい沢山あります。私が触れてきたのはその中の1割にも満たない数なのかもしれませんが、はっきりと、確信を持って言える事があります。それは、私は『安達としまむらがどんな作品の中でも最も大好きな作品である』ということ。今回のこのAbiding Diverge Alien。正直、圧倒されました。現実的ではないと分かっていつつもあまりに現実的。他の追随を許さないように、この安達としまむらという作品そのものの強み、安達としまむらという『存在』を強く示したものだったとおもいます。

では、内容に触れながら進んでいきましょう。

まず冒頭。チトさんのお話ですね。育ての親のような人に生きろと、強く背中を押されたシーンでした。今回ここで大切だと思った部分が、『チト』という名が一切使われていないという点です。今までのBlu-ray1〜3巻の特典小説においてチトさんとシマさんの2人のお話では必ず『チト』という名前が使われていましたが、今回は一切使われていません。何故なのかはこのAbiding Diverge Alienを読んだ方にはもうお分かりでしょう。分からない人のために簡単に言えばチトさんもシマさんも、『安達としまむら』だからなんですよ。1〜3巻と比べ、序盤のチトさんに関する話が圧倒的短く書かれています。しかし、そんな短い文でさえこういった意味を持っているんですよね。

続いてしまむらのお話。……続いて安達としまむらの話、の方がいいかな。うん。

端的に言えば、ショックでした。安達としまむらの『死』なんて、私の考えたくないものの一つ。それを思い切り突きつけられたのですから。親は勿論死んだし、祖父母だってずっと前に逝った。日野も死んだし、永藤だって死んだ。樽見も死んだし、サンチョもパンチョもデロスも……。安達は最後までいたんだ。なんて、なんてしっかりと文章で書かれた『死』。読んでいる最中なんてもちろん、こうして文字を打っている今でさえこの文章で泣いてしまう。当然のことだけど、死ぬんだって。私の中で、安達としまむらの『死』なんて、まだまだ遠い世界の話だ。なんて思っていた。けど、こうして突きつけられてショックだった。でも同時に、素直に凄いなと改めて思った。今まで見てきた作品でこういった死を見せられたのは初めてだったから。こんなにもあっさりとした『死』は。砂を手で掬って溢れ落ちるみたいに、なだらかで流れるような死。他にはそうそうない。この序盤だけで他との差をも見せつけられました。

そんな中でも生き続けるヤシロ。安達としまむら第1巻を初めて読んだ時、ヤシロがここまで重要なキャラクターになるなんて誰が想像出来たでしょうね。それに、しまむらがヤシロと出会って七十年近くと言っていましたし、単純に考えてこのしまむらは80代後半近くくらい。安達と死別して5年。安達は80代に差し掛かるくらいで、みたいですね。あと、私はこの部分で重要なのはやはり、幻の安達だと思います。レアモンスターみたいな言い方になってしまうね、幻の安達。それはそれとして『』で語られる安達の言葉、前にしまむらが言っていた言葉を彷彿とさせました。「家に帰るとさ、親が昔話ばかりしてるの」「なんでだろうと思ってたけど、考えてみれば当たり前だよね。だってさ、年齢を考えると未来より過去の方が長いし。そりゃあ、思い出話も多くなるよ」と。それに対し「素敵なことかも」とありました。このAbiding Diverge Alien読んでいて、皆さんはどう感じたしょうか?歳をとったしまむらも過去の話ばかりになっていた気もします。この状況のしまむらは素敵なことだと思っているでしょうか。私は、素敵なことだと感じていると思います。周りの死に対してじゃなく、思い出として心に沢山残っている物や経験。『』で語られる安達の言葉にしまむらは終始笑っていて、悪くはないんじゃないかと思っていると感じます。

ゆうしゃしまむらさんのお話をしましょう。「なんとか死ぬまでにクリアしたいな」に「では、少し急いだほうがいいかもしれませんね」と言ったり、「間に合わなかったら、あんた代わりにクリアしといて」に「しまむらさん、わたしはけっこーいそがしーのですぞ」とぴしゃりと断ったり「私そろそろ死ぬ?」に「どーですかねー」と言ったり。今まで、はきはきしていたヤシロがこういう風に返すのは久しぶりだと思います。私が思うに、本当に大切なものに対してだけヤシロは隠そうとするのだと思います。はじめての釣り堀での会話、覚えていますでしょうか?しまむらにドーホーの事を聞かれた際、うやむやにして話を終わらせた事を。あの時のヤシロにとって大切な存在は仲間であるドーホー。大切なものに関しては必ずうやむやにするのです。この七十年近くの付き合いで。いえ、出逢ってからヤシロにとってしまむら達が大切な存在となっていることの証明だと思います。だからこそ、しまむら達の『死』を知っているヤシロはどんな気持ちだったのか。この中で一番心苦しいのはヤシロなんじゃ無いかと思ってしまう事もあります。しまむらも29pで、自らが亡くなった後、取り残されるヤシロを気にかける描写がありました。ほんと、長命すぎるというのも考えものですね……。

そして安達としまむら最後の部分。「また、安達に会えるかな」。しまむらの望む宇宙への答え。そしてヤシロは答えてくれましたね。「会えますぞ」って。死んでない人には会える、つまり2人は必ず巡りあるでしょうね。肉体は魂を纏う衣だと何処かで聞いたことがあります。安達と、しまむらが、お互いにまた会いたいと願っているのです。その心のどこに『死』なんてものがありましょうか。

そして、ついにわかりましたね。しまむらとヤシロの『約束』。どーなつを……ではなく、安達に会えないしまむらしまむらに会えない安達の手助けをしてくれと。三千七百年経ってさえ、守り続けている大切な約束。ヤシロにとってこの安達としまむらとの出会いが心の底から大切なものだったのだと確信させられました。

 

場面は変わり、チトさんとヤシロのお話。ここまできて多くを語る必要もないでしょう。このヤシロとの出会いが、「すべての」「再びの」『安達としまむらの』始まり。

 

 

あとがき

はい、皆さまどうでしたでしょうか。このAbiding Diverge Alien。今後、ヤシロって結局何なの?このキャラ必要なの?なんて聞かれた際は、ヤシロは『安達としまむら』の世界を形作る者であると答えましょう。あれは何者なんだーあはは、の時代は終わりました。皆さまいいですね?ヤシロは『安達としまむらの世界を形作る者』。なくてはならないキャラだと再認識&固定概念化しましょう。特典小説Chito、死間、ムラに続いたこのAbiding Diverge Alien。とんでもないヤバいやつでしたね(ついに語彙力崩壊)。何度も言うけど入間人間先生神ですね。天才なんて言葉じゃ足りない。天才の上位互換になる言葉でも誰か発明して。あと、入間人間先生のあとがきがいつにもまして真面目だなぁ、なんて思いました。12巻くらいまで書いてくれると言っていましたがもっと欲しい。記録を安達としまむらでどんどん更新していって欲しい。(強欲)

私自身、このAbiding Diverge Alienを読んで、どうしても読み返したくなった話が一つあります。それが『としまむら』。あのですね、マジでですね、もう一回読んでみて下さい。マジで。ね、このブログを読み終わったらすぐに読み直して下さい。マジで。Abiding Diverge Alienをより一層面白く読めるようになるはずです。マジで。

それにしても、これでBlu-ray&DVDがこれで全巻揃った訳です。早いものですね。アニメが放送されてもうそんなに経ちましたか。しまむらじゃないけど、歳はとりたくないものですね。若いうちに私も色々と挑戦すべきなんでしょうか。

それと、Twitterなどで『安達としまむらロス』なるものをよく見かけましたが、私にはあまりよくわからないものでした。こんなにも安達としまむら供給が激しい中、ロスを感じるなんて逆に難しいと思いますが…。ロスを感じてしまっている方は生活の一部を安達としまむらにしましょう。暇があったら読むのです。安達としまむらという作品は読めば読むほど新しい発見ができます。幾度となく読んでいる私でさえそうです。ロスを感じていいのは2年半近く何の供給もない時くらいですよね。

感想は真剣になりすぎてなんだかしんみりした感じに書いてしまいました。あとがきくらいはっちゃけて明るくいきたいですね。これからも安達としまむらはまだまだ続いていきますし、応援させて頂くしかありません。第10巻、どうなるのでしょうね。発売されるよ!みたいな告知がきたらまた内容予想でもしましょうか。楽しみばかりが増えていくこの現状を大切にして日々安達としまむらを楽しもうと思います!皆さまも、これからも安達としまむらをよろしくお願いします!