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時々書きます。百合が好き。

〜佐伯沙弥香について〜 感想等

3月10日。佐伯沙弥香について第3巻が発売され、『やがて君になる』がこれで完結致しました。皆様、息していらっしゃいますか?私は無事読み終え、無事天に召されました。

今回はせっかくなので、佐伯沙弥香について1〜3巻の感想等を書こうと思います。果てしなく長くなると思いますが、よければ見ていって下さい。

まずは第1巻から。

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2018年11月10日発売。この外伝が出た時はまさに狂喜乱舞。やが君の中でも特に沙弥香が好きだったのでもの凄く嬉しく思いました。この第1巻で大好きな文章が冒頭の部分で、「傲慢なことを言うなら、自分ができる人間なのだと早々に知った。」という文です。まさに佐伯沙弥香という人間を表した文だなと思います。この冒頭でもう引き込まれましたね。沙弥香は小学生から優等生というか、立派で出来る子という感じが出ていますよね。こういう部分も『根本的に変わらないところ』なのだと思います。さて、水の日に水泳に参加している小学生沙弥香。そこで出会った女の子との話をしましょう。

沙弥香と同じクラスに参加している不真面目な褐色の女の子。沙弥香は正直、この子のことが好きではないと最初から言っていましたね。理由が『不真面目』なところと言うのがまさに佐伯沙弥香。生徒会に堂島くんが来た時、堂島くんが「弱っちぃんで、高校はもう(部活は)いいかなって 生徒会って内申点おいしそうだし」なんて軽く言い放った後、沙弥香がイラッとして、「この子仕事できるの?」「絶対苦手なタイプ」と言っているあたり、不真面目という苦手なタイプが変わってないなぁと思います。

対して褐色の女の子は沙弥香に嫌われていることを「しょっくだ」と言い。自分の悪いところを直そうとし、即実行に移します。読者である私達は、あぁもうこの女の子は沙弥香に対してそういう事ですよね、わかりますとなりましたね。こういうところから徐々にどうなっていくのだろうと興味が惹かれ、物語に引き込まれていく。小説って凄いです。

少し話がそれますが、沙弥香が習い事のない日曜日、祖母との会話。ここでも大好きな台詞があります。それが「理解の早い子だ」「でも理解が早いということは、臆病になるということでもある」という祖母の台詞です(p32参照)。この祖母は鋭い。と、子どもながらに沙弥香も感じとっていたようですね。この人の台詞は常に確信をつくような、見抜かれているような感覚におちいってしまいます。ああいう人を大人というのでしょうか。とにかく祖母の台詞はかなり考えさせられるというか、好きな言葉が多いです。

女の子との中で避けられない話が、林檎ジュースの部分です。プールの更衣室から出た途端に慌てたように呼び止め、話をしたいが為に林檎ジュースを買って、飲ませようとする。ここの林檎ジュースを飲む描写がものすごく美味しそうに毎度見えてしまう。確かにプールや風呂上がりの林檎ジュースを想像するとめっちゃ美味しそうですよね。

閑話休題。沙弥香が「ねぇ、なんでそんなに私を気に入ってるの?」と女の子に尋ねると、女の子は沙弥香に告白めいた言葉を返します。沙弥香は理解が早い。その感情やその身に起きたことをその女の子は理解出来ていなくとも、沙弥香自身経験がなくとも、心当たりがあった。しかし顔を逸らしながら、わからないとうそぶき、直視できず、避けた。

告白って、怖い。理解が早いということは臆病になること。あの2人きりの水の世界で感じた痛みは、まだ幼過ぎた沙弥香には耐えがたい恐怖だったのでしょう。知るにはまだ早かった。それを本能だけが知っていた。形に出来ない感情の発露は恐怖。考えられたのはあの女の子とは出会ってはいけないという警告だけだった。

説明口調というか、紹介みたいな感じになってしまいましたが、これがこの時の沙弥香の出来る全てだったのでしょう。この頃から沙弥香は女の子絡みの事で悩まされる運命を辿っていたのでしょうね。初めてこの話を見たときは、あまり明るい内容じゃなくとも、これは沙弥香にとって重要な出来事なのだと思いますますのめり込んでいきました。

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続いて中学生の頃のお話。(※注意!これを書いている人は柚木千枝をあまり好んでいません!柚木先輩ラブラブちゅっちゅな人は見ないほうがいいかもしれません!!)

中学、友澄女子。そこで出会った一つ上の先輩。柚木千枝。この人間との出会いが、関係が、沙弥香を大きく動かすことになりました。良い意味でも、悪い意味でも。

やがて君になる3巻を読んでいたこともあり、この人とどうなるか『結果』だけは知っていました。よく『結果だけだ!この世には結果だけが残るッ!』なんて言って、結果よければ全て良しなんて言う方もいらっしゃいますが、そうではないとこの話を読んで、言葉でなく心で理解出来ました。

確かに、ファーストフード店やカラオケのお話はとても微笑ましく、もうニッコニコで読んでいましたよ。あぁ、中学でも頼られてる沙弥香カッコいいな、ファミレス初めてのくせに先輩に気付かれないように振る舞うの可愛いな、なんてほのぼの読んでましたよ。

そう、あの先輩と付き合い始めるその時までは。

中庭に呼び出され、柚木千枝に告白された沙弥香。家に着いた後の沙弥香はそれはもう可愛くて可愛くて仕方ありませんでしたね。なんですかあの初々しい反応というか、状態。どんなことを言われて、逃げずに聴き終えられるかの想像で『顔がすきなの。綺麗だもの』『優秀だもの。私より先を歩いてくれそう』『理想のためにがんばれるところ、そういう凛とした姿勢、姿…大好き』という文章。私の理想?と沙弥香は言っていましたね。これもう燈子じゃん…!やがて君になる第3巻で都さんに「その子のどこが好き?」と聞かれた時、まっ先に出て来たのが『顔』でしたよね。それに続けて、「それに優秀なところ…私より前を歩いてくれるところ」「理想を叶えるために努力する姿が好き」と小説と一緒の三拍子全て揃っていました。もう入間人間先生読者を喜ばせようとサービス精神凄い!って初めて読んだ時も、心から感謝していました。このように先輩に告白されたことによって、沙弥香は前向きとは言いがたい気持ちが混じって心を乱していました。

そして、ついに付き合い始めることに。正直、私はその付き合い始めた2人の行動を見て、なんだかそこにある線をなぞって進んでいるだけのように思えました。待ち合わせ、本の事、下の名前で呼ぶ、好きなところを言い合う、手を握る、恋人への電話。そして…キス。言葉で並べるととても綺麗で羨ましいことです。沙弥香にとってもそれは自分に訪れる幸せな事だったのでしょう。奴を除いて。

キスした後の文。沙弥香の心臓は安定して激しく高鳴り、耳鳴りまで達する。自分の音以外、聞こえない。そして柚木千枝の言葉と行動。キスするところを読んでこれほどまでにときめかなかった事は今までありませんでした。まさに、欠けている。

先輩が卒業し、しばらく会えなくなって、沙弥香から会いに行くことにしましたね。そこで出会った先輩の最初の言葉が「どうかした?」です。 は? 寂しかったとかないのか。悲しいくらい沙弥香と先輩の気持ちには距離がある事を悟りました。

そして…電話で話した夜の翌日。中等部にわざわざ呼び出され、告げられた言葉。

「私たち、もう子供じゃないんだから」

「遊びでこういう付き合いをするのはよくないと思うの」

「一時の気の迷いのようなものだったのよ」

「女の子同士でなんて…ね?」

ぐにゃあ。私の視界が歪んだ。沙弥香をあんな気持ちに追いやって気の迷いで済ませるのか。殺す…コイツは殺さないと駄目だ。殺意ってこんな気持ちなのかと理解出来ました。

気の迷い、遊び、女同士。こういう沙弥香にしたのは、コイツのくせに。この後に続く沙弥香の気持ちが書かれた文をみて、私は柚木千枝を呪うと決めました。この出来事がこの先、沙弥香の人生にどれほどの障害となるのか。それを思うとコイツがどれほどの大罪を犯したかが容易にわかります。

恋愛とは片方が欠けていては駄目だ。沙弥香は先輩じゃないと駄目だったけど、先輩は違う。沙弥香じゃなくても大丈夫だった。沙弥香は先輩に恋していたけど、先輩は違う。先輩は恋というものそのものに恋していた。沙弥香の恋人は先輩で、先輩の恋人は恋。替えが効く方と、効かない方。読者である皆様は是非とも、恋に恋するような人間にはならないようにしましょう。私は柚木千枝に出会ったらとりあえずビンタします。

沙弥香は中高一貫の進学から離れ、全て忘れよう、一時の気の迷いだったと割り切れるように。と意識しないよう、忘れようとします。

しかし、そこで出会うのが『七海燈子』

沙弥香はそのとき。全てがどうでもよくなった。

そして気づく、女の子に恋する事しかできないんだって。

もし、本当に神がいるとして、運命を操作しているとしたら、沙弥香たちほどよく計算された関係はないでしょう。

第1巻を通しての感想は、ここまで念蜜に考えられた話があったのか、本当に凄い、ありがとうございます。といった凄すぎてなんと言えばいいのかわからない状態です。うん、ほんと…凄いよね。

 

続いて第2巻

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2019年5月10日、安達としまむら8巻と同時に発売。 正直に言っちゃうとこの時は安達としまむらの事で頭がいっぱいいっぱいで余裕がありませんでした。なんせ2年半以上待っていたので。佐伯沙弥香について2巻が出たことも凄く嬉しかったのですが、安達としまむらがあったおかげで、すこし感動が薄れていたのかもしれません。

さて、2巻の冒頭からお話ししましょう。出だしが「傲慢なことを言うなら、今、七海燈子の隣にいるのは私だった」です。1巻に続き、この始まり方がもう大好きでたまりません。それに続けて書かれているのが『小糸侑』についてです。沙弥香と侑の関係性が好きで好きでたまらないのはやが君好きなら全員でしょう。燈子を通してのこの2人を見ているとついつい笑顔になってしまいますね。どこからの時か感じ始めた予感はいつしか形を纏い、現実となる。沙弥香は『いつか』を迎え、踏み出す事が出来ました。やがて君になる7巻の沙弥香の台詞「悔しいなぁ」は大号泣不可避でございます。

この第2巻は沙弥香と燈子の高校1年の時の話で、どう燈子と隣にいれるようになったのかというものが主題です。しかし、少し進めて行くと、これまた避けられないものがあります。それが『まなみど』です。わかっています、これは佐伯沙弥香についてだって。でも避けられるわけがないじゃないですか。最初に読んだ時は沙弥香と燈子のことばっかりで全然意識していませんでしたが、この佐伯沙弥香についてで、まなみどの1年も見れる事がわかり、これまた狂喜乱舞でした。2人は仲睦まじくしている。高校から出会ったというが、とてもそうには思えない。馬が合う、というやつなのだろうか。1週間で馴染みすぎ。次々と私たち読者が喜ぶ事を言ってくれるじゃないか。

入間人間先生。ありがとうございます。こんにゃくをどうぞ。

それはそれとして、生徒会室を背負うような位置にある古いベンチで沙弥香が燈子に話があると言ったシーン。沙弥香が「少し話があるの」と言ったあと、「うーん…うん」と警戒し、ベンチでまず「さてなにかな、告白?」と先手を打ってきましたね。まだそう思ってないかもしれませんが、先に冗談めかして言ってきたのはきっと少しでも沙弥香には告白されたくなかった気持ちがあったからだと思います。それ故に「燈子って呼んでもいい?」なんて言われるものですから、拍子抜けして笑ってしまったのでしょう。沙弥香の少しずつ少しづつ燈子に向かって歩み出しているのが見て取れていいですよね。

生徒会室でのお茶入れじゃんけん。私はやがて君になるを読んでじゃんけんにある種の恐怖を覚えました。それと同時に、じゃんけんにこれほどまでに意味を込められるのかと心底凄いと圧倒されました。燈子とじゃんけんする時、皆さんなら何を出すか。それはもうやがて君になるを読んでいればお分かりですわよね?

燈子がまたまた告白されるお話。いつも断り方が一緒だって噂されると困るという斬新な悩みでしたね。告白がどうたら話していると愛果が割り込んで告白してましたね。燈子にも沙弥香にもフラレましたが…そう、『燈子と沙弥香には』…ね。ふふふ……。それはそれとして、告白されているところをつい見ちゃった沙弥香さん。燈子走って追いかけ、追い抜くところのシーン大好きですね。燈子とは別に、沙弥香も告白されましたね。男子に。あの男子の告白もまた沙弥香にとって大切な経験でしたね。新たな考え方の一つがここでまた生まれたような。まぁフラレたんだけどさ。フラレたんだけどさっ。カッコ良かったよ。

沙弥香が2度目に燈子を呼び出した際、燈子が「まさか、沙弥香の番が来るとは思わなかったな」と言い、沙弥香が話し出す前に、また先手として「そういうのだったらどうしようって思っちゃった」や「そういえば先週、告白されたんだけどね」など告白したらどうなったか等、また告白するなと念押しするかのように話始めましたね。燈子をよく見て理解する沙弥香だからこそ、やはりこの時に姉の事など燈子に踏み入ることは出来ませんでした。祖母の言っていた「理解が早いということは、臆病になるということ」という台詞がここまで生きてきています。

そして、最終的に踏み込んだのは小糸さんだった。沙弥香は待ちすぎた、恐れすぎた。それでも沙弥香の気持ちは、愛の言葉は燈子に届いた。それがどんなに悔しくても幸せな事に違いはないはすです。

第2巻を通しての感想は、沙弥香と燈子の関係の成り立ちをますます理解する事が出来て幸せでした。やがて君になるを読んでいるからこそのこの面白さ。ほんと凄い(語彙力皆無)

 

続いて3巻

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2020年3月10日発売。実はこのブログ、1週間経ったら感想書こうと思っていたのですが、もう5日我慢したしいいよね?というように抑えきれなくなった感じです。佐伯沙弥香について第3巻については相当言いたい事があるのでお付き合いよろしくお願いします。

まず、2巻のラスト、陽ちゃんとの出会い。大学で泣いているところで遭遇なんてなんだか箱崎先生と児玉さんみたいだなぁって初見は思いましたね。2巻発売当時はまだ陽ちゃんなんて名前が出ていなかったので、一体誰なんだ…水泳の褐色の子か…!?ざわざわ…と、色々な思考を巡らせていました。2巻の後ろ、佐伯沙弥香について3巻制作決定のページを見てガッツポーズしたのは私だけじゃないはず。やがて君になる8巻が発売された時は、燈子と侑のことで頭がいっぱいいっぱいだったので、思考をなかなか巡らせることができませんでしたが、8巻で名前がわかった時でさえ、水泳の子の名前がわからない、成長した容姿がわからないこともあり、ますます謎になっていきましたね。そして佐伯沙弥香について第3巻が発売される少し前に、表紙を拝める事が出来ました。まず目に入ったのが沙弥香の笑顔。はい百満点。1巻、2巻、3巻と徐々に表紙の沙弥香が笑顔になっていっている事に気が付いたでしょうか?スクロールして見てきてもいいのですよ。そして、沙弥香をこんな笑顔に出来る陽ちゃん。何者ッ…!?表紙でここまで人を惹きつける事が出来るこの作品をなんと言うでしょう。そう、やがて君になるです。

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長々と本編に入る前に話してしまいましたが、御了承を。それほど楽しみにしていたという事でございます。それでは、佐伯沙弥香について第3巻冒頭に触れていきましょう。

『停泊線』

冒頭に触れて、初見の感想が、アレ?傲慢は?でした。佐伯沙弥香といえば『傲慢をいうなら』からと思っていた私はあれれ?となりましたが、先走り過ぎだと後に気付きました。その冒頭は思っていたものと違い、告白でした。枝本さんの台詞「どこが一番かっていうと、えっと、顔。もう最高です」こういうあたりからやが君を漂わせてきますよね。それに続いて沙弥香が「分かるわ」なんて言うものですからつい笑顔になってしまいます。大学二年生の半ば。沙弥香は女の子に告白された。はい、ドッキドキ。私は期待に期待を重ねられ興奮して参りました。

『透明の海』

燈子との連絡のやり取りから始まる。あれ…?傲慢は…?(先走り過ぎ)。やがて君になる8巻でも分かる通り、燈子は役者として頑張っているみたいですね。沙弥香が生徒会劇の舞台に立った事を、『私そのままで劇に参加していたような』『そんな風に思う』という。沙弥香だけじゃなく、色々思わされますよね。そして、その連絡のやり取りの次の文『傲慢でもなんでもないのだけど、私は二年生で、彼女は一年だった』おまたせしました、傲慢です。いや、傲慢でもなんでもないのだけど。安堵した私でした。

目の合った枝本さんが会釈するように離れていったあと、向かいに座る友人が尋ねてくる。という文、正直最初どの友人?となりましたが、講義をサボるモブでした。サボり三回目。まとめなかったら一回が三つだもの。なんて入間人間先生感が凄いモブでした。

翌日の移動中、枝本さんを見かけ、レジの精算中にわちゃわちゃとして支払いを終えた枝本さんが照れ笑いを浮かべ「ちょっと待ってって伝えるの難しいね」と告げる。それに対して沙弥香は思わず頬を緩ませてしまう。…沙弥香さっそく結構心開いてる…?枝本さんを紹介する沙弥香の文も、かなり好印象を抱かせるようなもにばかり。この時点で沙弥香結構枝本さんのこと気に入ってるんだなって印象でした。あと、

「枝本さん」

「ハルでいいよ」

「枝本さん」

「手強い」

このやり取り…堂島くんじゃん…!と、皆気付いたはず。

「そろそろもっとフレンドリーでもいいかなと思ってね?」

「俺の下の名前卓っすよ!」

「なに堂島くん?」

「手強いなー!」

やがて君になるに関連したネタというか、1巻2巻にも似たような感じはありましたが、こういうのめっちゃ好きです。そしてその後流れるように枝本さんのアパートにお邪魔することになる沙弥香。待ち合わせでいい走りっぷりを見せる元気な枝本が可愛い。お昼ご飯を作っている間に食器を買いに…なんだか凄い展開でしたよね。いってらっしゃいとただいまの部分も大好きです。トテモ美味しい親子丼食べてみたいです。

枝本さんを苦手かどうかの話。ここで沙弥香の過去に触れつつ話していましたね。水泳の女の子と同じく枝本さんが「沙弥香先輩、わたしのこと苦手?」と聞かれましたが、「今のところそうは感じないわね」と返しているところが違いですね。枝本さんがあきらかに好感度稼ぎに来ているのが目に見えて微笑ましいです。

次に小糸さんとのお話。この2人の関係性が高校にいたときよりもより強くなっていて本当最高でした。最初に話題に上がるのが燈子についてというあたりが点数高い。泊まりだったかどうかを言い当てて、あたふたと焦る小糸さんホント好き。この2人はこの先もずっと仲良くしていけるという確信があります。小糸さんと沙弥香がリレーの練習していた頃をみて下さい。きっとあなたは笑顔になるでしょう。

次に大学の図書館で通りかかったテレビに映る水泳選手。首にかかる程度の滑らかな黒髪、季節を先取りするかのような日焼けした肌、そして…水泳を始めたきっかけ。あの女の子ですねはい。女の子が言っていた『昔、水の中でとてもきれいなものを見たんです』って言い換えれば、世界に佐伯さんはとてもきれいだったぞと言っているようなものですよね?…ふぅん。いいじゃん。枝本さんにプールに行かないかと言われた後、「うんうん、じゃあ行こうよ沙弥香ちゃん」「沙弥香ちゃんはやめなさい」というやり取りがありましたね。はぁ〜……あ〜あ、奴のこと思い出しちゃったじゃん。せっかくプールの件でいい感じだったのに。ちょっとビンタしてくる。………冗談はさておき、やっぱりあの一件のせいで沙弥香ちゃん呼びはもはや禁句となっているようですね。

続いて枝本さんの出来事。

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 大学に来て、女の子同士は人の目が気になるようになったとか…そんな理由でフラれたらしい。またですか、柚木千枝のような人間がまだいましたか。私がこれを初めて読んだときもうそれはもうイライラしちゃいました。しかし、枝本さんは言った。友達にも戻れないのは少し寂しいと。めっちゃいい子じゃん…!ここで私の枝本さん好感度ぐぐっと上がっちゃいましたね。きっと沙弥香もこんな考え方が出来るのは凄いと思っているでしょう。その後すぐに、「わたし、女の子が好きなんだ」と言えるのも凄いです。どこまでも真っ直ぐな子で、尊敬しちゃいます。弱々しく、軽く触れるようにこの時に告白していたつもりなのでしょう。沙弥香は理解していたかもしれませんが、その内ね、と触れないように距離を取っていましたね。

七月二十九日。沙弥香の二十歳の誕生日。まなみどから日の出と共にメッセージが届いているなんていい友達を持ったね沙弥香…!えーと、みどりと愛果はルームシェアしているので、ふむふむ、恐らくどちらかが相手を起こしたのだろう。ふむふむ、おめでとうが二回入っているので、みどりの方が寝ぼけて送ったのかもしれないと。へぇ…ふぅん…え?ちょっと待って。みどりと愛果が何て?ルームシェア?へ?Now Loding………なるほど、そういうことね。困惑、そんな言葉があっているのではないでしょうか。まなみど民はどれほど狂喜乱舞したことでしょう。最高ですよね。なんにせよ、嬉しかった。

そして次にお祝いのメッセージが欲しいと思う相手が枝本さん。ふーん…いいじゃん。というか、いいね。7兆点。優勝。お祝いの言葉が枝本さんから欲しかったなんてメッセージで送れる沙弥香凄い。お酒を家で飲まないかと誘う枝本さんも流石だ……。

「未成年がビールを買うこと自体はオッケーだよね?」

「違法ではない、はずよ」

「いやまぁ買っちゃったんだけどねもう」

未成年者飲酒禁止法

第一条第3項、酒類を販売する営業者(酒屋、コンビニエンスストアなど)又は供与する営業者(飲食店、居酒屋、スナックなど)が、満20歳未満の者に対して、飲酒することを知りながら、酒類を販売又は供与することを禁止する。

飲酒する目的でない場合、買うという行為自体は違法ではないらしいです。しかし、お店側からすると飲酒するかしないかの判断が難しい為、未成年である方には販売をお断りしている場合が多いみたいです。枝本さんはセルフレジで買ったみたいですが、セルフレジにも見張りとなる店員さんが通常おり、セルフレジ画面でも『店員が参ります』の文字と共に店員を呼ぶ専用の音が鳴るみたいです。間違っても、未成年は飲酒しないように!はい、勉強になりましたね。今度お酒買おうと思います。いや、飲むわけじゃないですよ…?

閑話休題。そして私は生まれて初めて、お酒に口をつける。二十歳になった自分を改めて感じられるような鮮烈な味をにがっ。圧倒的!入間人間先生感!w  こういうのほんと大好きですもっと頂戴。この佐伯沙弥香について第3巻でのお酒があまり美味しそうには見えない…でも飲んでみたくなる…!二十歳になったら十缶ほどのビールとコーラを買って飲みたいです。枝本さんはお酒強そうでしたね、一気にぐんぐん飲んでましたし。彼女がいるかどうか聞くのが恥ずかしくて照れ隠しのためにお酒を飲んだのでしょうが。

 

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 お酒の勢いで告白されちゃった沙弥香ですが、すこし酔っている中でもやはり奴の顔が浮かんでしまいましたね。心と体の温度差に耐え切れないように、ぞわりと肌を走るものがある。そしてでた答えはやはり「考えさせてくれる?」酔っていると色気というか…雰囲気がいいですよね…。誕生日だからと調子に乗った結果が日も明るい内からの酔っぱらいである。へらへらと、笑いそうになる。酔っている沙弥香もまた可愛い。

 

『抜錨』

沙弥香と燈子でお酒が飲めるような日が来るといいですよねほんと。見てみたいものです。あわよくば侑、燈子、沙弥香の3人か、プラス陽ちゃんで飲んでるところも見たいです。二日酔いの沙弥香、都さんに相談しましたね。中学生の頃の事も……どれだけ沙弥香の人生という名の路上に転がり込む障害物になるのでしょうか。いや、避けられない事ではありますが…告白した後の枝本さんぎこちなくて可愛いから今は置いておきましょう。メッセージでも落ち着きなく話している枝本さん可愛い。ヤバイ、こうして書いているうちに枝本さんの好感度ぐんぐん上がっていってるぞ。

翌日。酷い顔色の枝本さんに告白返事。結果的にはお試し期間、満足できそうなら継続してお願いしますってやつになりましたね。前向きな枝本さんに、迷いのない声に、曖昧に笑う事も難しかった沙弥香でした。

告白を終えた翌日から、枝本さんが確認のために「超好き 」と、「ちょーすきー」と遠くから大きく手を振って、大声で追加してくる。こんな真っ直ぐな子だからこそ、居心地のいい関係を築けるのです。それでも、失敗するくらいなら、初めからやらなければ、という考えがちらつく。恐怖とは過去からやってくるものだ。それを乗り越えるのも、一つの世界を揺るがすほどに大きな悩みも、すべては、沙弥香の心次第。

続いてまなみどに連絡する沙弥香。私を好きだといってみて欲しいと頼む。これこそ傲慢な願いだと思えた沙弥香。みどりが一拍置いて『好きだよ、沙弥香』という。礼を言った沙弥香に続き、こんな台詞が出てくる。『あ、今浮気した』愛果の反応に我々は無事息を詰まらせましたね。そして、『頼まれたからだし、浮気じゃないし、そもそも浮気にならないし、浮気ってなに』『いや、私ってみどりに好きなんて言われたこと多分ないよね』『え、あー…ないかな』『多分ね』『あ、そうだ。ねぇねぇ。沙弥香。私に好きって言ってみてよ』『あんたこそなに堂々と浮気してんの』 はい、ありがとうございます。トテモ美味しかったです。そして最後に沙弥香が「私のことは忘れて二人で幸せになってね」と。もうこれは我々の気持ちを代弁して頂いたことに変わりありませんよね。ありがとうございます。まなみど成分はここでお腹一杯になるくらい頂けてトテモ幸せでした。

 

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そして、枝本さんからの「好き」を再び聞く。そうして確信する。この人の好きは違うものだと。「私には、あなたをこれから好きになる予感しかない」「だから私があなたを好きになるまで、あなたには好きでいてもらわないと困るの」「付き合いましょう、枝本さん」本当にカッコいい。燈子に告白したあの情景が脳裏に浮かぶ。沙弥香は本当にカッコいい。真っ直ぐで、綺麗。私にはそれくらいの言葉しか出てきませんでした。鳥肌です。

「あなたの方こそ心配よ。飽きやすいんでしょう?」沙弥香のその言葉に対して、枝本さんは「毎日、たくさんの沙弥香先輩を見つけるよ。それならきっと、大丈夫」枝本さんらしく、真っ直ぐなあり方。私には真っ直ぐな二人の線が1つに繋がっていくように見えた。

 翌日の沙弥香は皆さんお馴染みの可愛くて可愛くて仕方ない沙弥香でしたね。ここはもう可愛いしか出てこないので割愛。

髪を切った沙弥香。高校を卒業してから伸び続けたそれを断ち切る。これも『変化』だ。そんな沙弥香を見て枝本さんは「ますます好きになったかも」と言ってくれる。好きって、今のままのあなたじゃなきゃ嫌だってことではないけど、どんなあなたになってもいいってことでもないと思う。だから、あなたは私の好きなあなたでいてくれるだろうっていう、信頼の言葉。好きと言える事、言われる事が幸せに見えました。

名前の呼び方が変わる。それもまたある種、信頼に繋がっているのだと私は思っています。燈子が侑と呼ぶように、侑が燈子と呼ぶように、沙弥香がハルと呼ぶように。信頼というものに段階があるならば、一段それを乗り越える事。そう思います。

 

「ここが沙弥香先輩の町かぁ」

「私が支配しているように聞こえるわね……」

このやり取り狂おしいほど好き。私の言ってみたい台詞ランキング上位に食い込みました。一位は「働かずに食べるご飯は美味しいよ…おかわりだってしちゃうね…!」です。これは「働かずに食う飯はうまいか?」って聞かれたときくらいしか言えないのですよ。私結構働いちゃうタイプなので言ってみたい。 閑話休題

侑にハルを紹介するお話。ここもやが君ならではのネタがちらほらあって楽しく見れましたね。ベットの脇にある小型のプラネタリウム。燈子の贈り物あたりかと察しが良すぎたり、豹の隣の可愛いぬいぐるみをみて、自分の顔を気にしたり。沙弥香もめっちゃ可愛い乙女。侑と陽ちゃんとの会話で「告白って、怖いよね」という言葉。やが君を見ている私達からでもどれほど怖いものなのかが容易にわかりますね。私も心から尊敬する。ハルの沙弥香の大事な人の順位、その目標が5位。いつか一位になる日もくるでしょう。それを私はただただ祈るだけです。

 

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アパートに着いてから、プールにまたまた誘ったハル。水着姿を見たいと直接言えるハル凄い。沙弥香の水着をオットセイみたいに騒ぐハルと共にプールへ入る。綺麗だったりエロいねだったり、沙弥香の生足をみて抑制が効かなくなっている感じが凄いですね。そして、プールへ沈んでいくシーン。たくさんの痛みと、感情と、温度、失敗をつぎはぎして、今の沙弥香がいる。壊れる前に安寧と呼べる存在を見つけられたことに、とても安堵する。そういうことを、幸せと呼ぶのかもしれない。今までの物事、経験の全てに、無駄なことなど何もなかったと言われているようで、救われました。

 

ハルに高校生の頃好きだった人と会うとメッセージ。沙弥香はどこまでも真面目ですね。『浮気はしないでね』『できないわよ』「できないのよ」私は決して、燈子という星には届かないのだから。この文をみて、これだけで様々な感情がひしめき合います。沙弥香はカッコいいよほんと。燈子と沙弥香のお話。叶さんがサイン練習してるの指摘されて恥ずかしがってて可愛いとか。侑とよく合ってるよとか。細かな幸せ描写がたくさんでしたね。ですが、何よりも笑顔になれるのは最後。そう、じゃんけん。勝つことも、負けることも、簡単に選ぶことが出来るじゃんけん。答えは皆様ならもう、わかっているはず。

 

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『星が揺れる』

アパート前、互いの気持ちと暖かさを確かめるように唇を重ねる。振り向いて引き返せばすぐにでも会える。つい、身体が止まりそうになる。実際止まった。あと三ヶ月くらいは、格好つけた先輩でいたい。大きく吸ってから吐いた息に合わせて、いくつもの星が震える。きっと春はもうすぐそこだった。

え、これってもしかして…!っとうすうす思ってしまっていましたが、この先は私たちの想像で進めるしかないようですね。期待し過ぎていた方はがっくりきたかもしれませんね。

『星』とはやがて君になるに置いて、欠かせないもの。侑も、燈子も、沙弥香も。

星に届くことができましたね。これ以上幸せなことはないでしょう。

 

第3巻を通しての感想は、少し辛口に言ってしまうと綺麗に纏まり過ぎていたな。と思いましたね。もはや外伝でなく、『やがて君になる』の締めくくりのような。Twitter等でみた感想だと、二次創作感が凄い。という意見をかなり見かけました。多分それは、実質新しいキャラである陽ちゃんに馴染みがなかったことと、燈子との件等で成長した沙弥香に慣れていなかったから、どこか違和感があったからかなと思います。しかし、なんというか、『こうであって欲しいが』全て叶って、文句のつけようがないというか…うん、ほんと素晴らしいと思いました。そして、ここまで読んで下さった方ありがとうございました。この『佐伯沙弥香について』を書いておられる、入間人間先生の作品、『安達としまむら』の方も是非よろしくお願いいたします。

 

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私はやがて君になるに出会えて心より幸せに思います。